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小規模企業共済とiDeCoどっちが先?フリーランスの節税順番

運営・編集:Yusuke Hiramatsu

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小規模企業共済とiDeCo、どっちが先?フリーランスの節税順番を徹底解説

フリーランスが使える節税制度として、小規模企業共済とiDeCoはどちらも人気ですが、「どちらを先に始めるべきか」で迷う方は多いです。2つの制度は似ているようで、掛金上限・受取条件・リスクが大きく異なります。本記事では課税所得別のシミュレーションと出口戦略も含め、正しい優先順位を解説します。

結論:小規模企業共済を先に満額、次にiDeCoが基本戦略

結論から言うと、フリーランス・個人事業主はまず小規模企業共済を月7万円(年84万円)まで満額掛け、余裕があればiDeCoを上乗せするのが節税効率の高い順番です。

理由は3点あります。

  1. 小規模企業共済は元本に**付加共済金(運用益相当)**が上乗せされるため、損をするリスクが低い
  2. 任意解約時も掛金月数によっては元本割れのケースがあるものの、廃業・退職による共済金受取なら一定以上の運用利回りが期待できる
  3. iDeCoは運用益が非課税になる反面、受取時の課税が複雑で、小規模企業共済と同時受給すると退職所得控除の枠を食い合う可能性がある

ただしこれは原則論であり、収入状況・年齢・将来の廃業時期によって最適解は変わります。詳しくは税理士にご確認ください。


2つの制度の違いを徹底比較

制度の基本スペック

項目小規模企業共済iDeCo(自営業者)
掛金上限(月)70,000円68,000円
掛金上限(年)840,000円816,000円
所得控除の種類小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済等掛金控除
控除額掛金全額掛金全額
元本保証実質あり(廃業・退職時)なし(運用成績による)
受取条件廃業・退職・65歳以上など原則60歳以降
途中解約任意解約可(元本割れあり)原則不可(脱退は限定要件のみ)
運用中小機構が運用自分で運用商品を選択
加入対象個人事業主・小規模法人役員20〜65歳未満の現役

両制度とも掛金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象です。合計すると年間最大で84万円 + 81.6万円 = 165.6万円もの所得控除を受けられます。

出典:国税庁タックスアンサー No.1135 小規模企業共済等掛金控除

加入資格の注意点

小規模企業共済は個人事業主・小規模法人の役員が対象で、副業として個人事業を持つ会社員は原則加入できません。一方iDeCoは、会社員・公務員・自営業者を問わず加入できますが、自営業者(第1号被保険者)の拠出上限が月68,000円と最も高く設定されています。

副業で収入を得ている会社員の方は、小規模企業共済には加入できない点に注意が必要です。その場合はiDeCo一本で節税を図ることになります。


ケース別節税シミュレーション

実際にどれだけ節税できるのか、課税所得別に見ていきましょう。ここでは節税シミュレーターを使って確認できる数値をベースに解説します。

ケース1:課税所得300万円のフリーランス

課税所得300万円の場合、所得税率は10%(控除額97,500円)、住民税は一律10%です。

小規模企業共済を年84万円掛けた場合:

  • 所得税削減額:840000 × 0.10 = 84,000円
  • 住民税削減額:840000 × 0.10 = 84,000円
  • 合計節税額:168,000円

さらにiDeCoを年81.6万円上乗せした場合:

  • 小規模企業共済と合わせた追加控除(所得税):816000 × 0.10 = 81,600円
  • 住民税:816000 × 0.10 = 81,600円
  • iDeCo追加節税額:163,200円
  • 2制度合計節税額:331,200円

ケース2:課税所得500万円のフリーランス

課税所得500万円では所得税率20%(控除額427,500円)になります。

小規模企業共済を年84万円掛けた場合:

  • 所得税削減額:840000 × 0.20 = 168,000円
  • 住民税削減額:840000 × 0.10 = 84,000円
  • 合計節税額:252,000円

iDeCoを年81.6万円上乗せした場合の追加節税:

  • 所得税:816000 × 0.20 = 163,200円
  • 住民税:816000 × 0.10 = 81,600円
  • iDeCo追加節税額:244,800円
  • 2制度合計節税額:496,800円

課税所得500万円では2制度をフル活用することで、年間約50万円近い節税が可能です。

ケース3:副業収入50万円の会社員

副業収入が50万円(雑所得または事業所得)の会社員の場合、小規模企業共済には加入できません。

会社員の場合はiDeCoの拠出上限が企業年金の有無によって異なりますが、企業年金なしの場合は月23,000円(年276,000円)が上限です。

  • 所得税率20%の場合:276000 × 0.20 = 55,200円
  • 住民税:276000 × 0.10 = 27,600円
  • 年間節税額:82,800円

副業収入が増えてきたら、個人事業主として独立し小規模企業共済に加入するという選択肢も視野に入ってきます。詳細な試算は節税シミュレーターでも確認できます。


受取時の出口戦略:5年ルールが重要

節税効果だけでなく、受取時の税負担も考慮しなければ真の節税にはなりません。

退職所得控除の仕組み

小規模企業共済もiDeCoも、受取時は「退職所得」として扱われ、退職所得控除が適用されます。

退職所得控除額の計算(勤続・加入年数20年以下):

  • 年数 × 400000 = 控除額(例:20年の場合 20 × 400000 = 8,000,000円)

20年超の場合:

  • 8000000 + (年数 − 20) × 700000 = 控除額

同時受給の落とし穴

小規模企業共済とiDeCoを同じ年に受け取ると、退職所得控除の枠を合算して1回しか使えないケースが生じます(税務上の「同一年の退職所得」の合算規定)。

対策として、受取時期を5年以上ずらすことが有効です。例えば60歳でiDeCoを受け取り、65歳で小規模企業共済を受け取れば、それぞれに退職所得控除が別々に適用されます。

出典:中小機構 小規模企業共済制度


手順・チェックリスト:始めるべき順番

フリーランス・個人事業主が節税を始める際の推奨ステップです。

  1. 確定申告の状況を確認する:青色申告65万円控除を使っているか確認。未申請なら先に青色申告承認申請書を提出する
  2. 課税所得を試算する:売上 − 経費 − 各種控除で課税所得を把握する
  3. 小規模企業共済に加入する:中小機構の公式サイトまたは取扱金融機関・商工会議所の窓口で手続き。掛金は月1,000円から設定可能
  4. 掛金を設定する:余裕資金の範囲で月5,000〜70,000円(500円単位)を設定。年収が不安定な時期は低めに設定し、後から増額できる
  5. iDeCoに加入する:金融機関を選び口座開設(SBI証券・楽天証券・松井証券など)。自営業者は月最高68,000円まで設定可能
  6. 運用商品を選ぶ:iDeCoは元本確保型(定期預金)と投資信託から選択。リスク許容度に応じて配分を決める
  7. 確定申告で控除を申告する:小規模企業共済等掛金控除として申告書の所定欄に記載。各機関から年間払込証明書が届くので保管する
  8. 受取時期の計画を立てる:廃業・引退の想定時期から逆算し、iDeCoと小規模企業共済の受取タイミングを5年以上ずらせるか検討する

注意点・よくある間違い

間違い1:任意解約で元本割れするケースを知らずに加入

小規模企業共済を**任意解約(廃業・退職以外の理由)**すると、加入年数が20年未満の場合は受け取れる金額が掛金の合計を下回ります。特に加入12か月未満では掛捨てになります。「どうせやめたくなったらやめればいい」という感覚で始めると損をする可能性があります。

間違い2:iDeCoは60歳まで絶対引き出せないことを忘れる

iDeCoは原則として60歳まで資産を引き出せません。生活費が厳しくなったときに頼れる資産ではないため、緊急予備資金(生活費6か月分程度)を確保した上で掛金を決めることが重要です。

間違い3:副業会社員が小規模企業共済に加入しようとする

副業で事業所得があっても、本業が会社員(給与所得者)である場合、小規模企業共済の加入資格はありません。加入条件は「小規模企業の個人事業主」であることが必要です。

間違い4:同じ年に2つの制度から受け取る

前述の通り、小規模企業共済とiDeCoを同一年に受け取ると退職所得控除の合算問題が発生します。受取計画は加入時から考えておくことをおすすめします。

間違い5:掛金を高く設定しすぎて生活が苦しくなる

節税効果が高いからといって掛金を満額にすると、収入が下がった月のキャッシュフローが悪化します。小規模企業共済は掛金の増減が可能なので、最初は余裕を持った金額から始め、事業が安定してから増額する方法が現実的です。


まとめ

  • **優先順位は「小規模企業共済を満額→iDeCoで上乗せ」**が基本。元本保証に近い安心感と高い節税効果を両立できる
  • 課税所得が高いほど節税効果は大きく、500万円クラスでは2制度合計で年50万円近い削減も可能
  • 副業会社員は小規模企業共済に加入不可。iDeCoの活用を中心に戦略を立てる
  • 受取時は5年以上ずらすことで退職所得控除を二重に活用でき、税負担を最小化できる
  • キャッシュフローを優先し、緊急資金を確保した上で掛金を設定する。iDeCoは途中解約不可であることを忘れずに

よくある質問

Q. 小規模企業共済とiDeCoは両方同時に加入できますか?

はい、両方同時に加入できます。どちらも小規模企業共済等掛金控除の対象となり、合計で年間最大165.6万円(84万円 + 81.6万円)の所得控除を受けることができます。ただし、受取時に同じ年に一時金を受け取ると退職所得控除の枠の合算問題が生じるため、受取時期は分散させることを検討してください。

Q. 開業1年目のフリーランスはどちらから始めるべきですか?

開業1年目は収入が不安定なことが多いため、まず緊急予備資金(最低3〜6か月分の生活費)を確保することが最優先です。その上で余裕資金があれば、小規模企業共済を月5,000〜10,000円程度の少額から始めるのが現実的です。iDeCoは60歳まで引き出せないため、事業が安定してから上乗せする方針が安全です。なお、具体的な金額設定は収入・支出の状況によって異なるため、詳しくは税理士にご確認ください。

Q. 掛金の変更はいつでもできますか?

小規模企業共済の掛金は増額・減額ともに手続きによって変更可能です。増額は比較的自由にできますが、減額には一定の手続きが必要です。一方、iDeCoの掛金変更は**年1回(加入者掛金額変更届の提出)**しかできません。ライフステージや収入の変化に合わせて見直したい場合は、変更頻度の柔軟な小規模企業共済の方が使い勝手が良い面もあります。

Q. 廃業せずに65歳になった場合、小規模企業共済はどうなりますか?

小規模企業共済は、65歳以上で180か月(15年)以上掛金を納付していれば、廃業しなくても「老齢給付」として受け取れます。この場合も退職所得(一時金受取の場合)または公的年金等控除(分割受取の場合)の対象となります。事業を継続しながら受け取れる点は、iDeCoの「60歳以降に受給開始」と仕組みが異なります。受取方法(一時金・分割・併用)によって税負担が変わるため、受取前に必ず試算することをおすすめします。

Q. iDeCoの運用で損失が出た場合、所得控除はどうなりますか?

iDeCoの所得控除(掛金の全額控除)は拠出時点で確定します。運用で損失が出ても、掛金を拠出した年の所得控除はそのまま有効です。ただし、受取時の資産額が減少するため、受取時の税負担は小さくなります。元本保証を重視する場合は、iDeCoの中でも定期預金などの元本確保型商品を選ぶ方法があります。

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参考にした一次情報

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